今年に入り「ウッドショック」という言葉を目にすることが増えてきました。
このウッドショック、これから家を建てようとしている人にとっては非常に重要な問題なんです…
実際自分はウッドショックの影響も少なからずあり、最終的に工務店を変更することとなりました。
これまでまったく聞いたことの無かったウッドショックとは、いったい何なのでしょうか。
もの凄く簡単に言えば、住宅建築に必要な木材の供給が需要に追い付かず、価格が高騰してしまったという内容です。
上の画像を見るとわかる通り、今年に入って北米からの輸入材が1.5倍程まで跳ね上がっています。
かつて1970年代に起こった「オイルショック」になぞらえて、ウッドショックと呼ばれるようになりました。
実はこのウッドショック、1990年と2006年にも起きており、今回のウッドショックは「第3次ウッドショック」とも呼ばれています。
90年代前半をピークに右肩下がりだった住宅着工戸数、それでもリーマンショック以降は少し増加傾向にありました。
ですがコロナウイルスの流行により、2020年の着工数は前年から約10%も減少してしまいます。
着工数が減少しているのになぜ「需要>供給」になってしまったのか、この問題にも実はコロナが関わっていたのです。
現在日本の住宅建築で使用されている木材の7割程は、国外からの輸入木材に頼っていると言われています。
国産木材のみを使用するメーカーや工務店もありますが、やはり数は少なく輸入木材が多く使用されていることがわかります。
じゃあなぜその輸入木材が日本に入ってこなくなったのか、色々な原因が重なった結果によるものでした。
・アメリカや中国で住宅需要が増加した
アメリカや中国では景気の回復、歴史的な超低金利を背景に住宅需要が高まり始めました。
コロナウイルスの影響でリモートワークの重要が増えたため、郊外に住宅をする人が増えたとも言われています。
こういった世界的な需要と供給のバランス崩壊により、日本へ輸出される木材が減り始めます。
・コンテナ不足
日本へ木材の輸入する際は、コンテナ船で海を渡って運ばれます。
コロナ渦で世界的に流通が圧迫され、木材に使用できるコンテナの数が不足するように。
また、3月に起きた大型コンテナ船の座礁事故も、日本へのコンテナ輸送の遅れに影響してしまいました。
・労働者不足や木材自体の減少
木材として輸出するには木を伐採、必要であれば加工して輸出するわけですが、そもそも伐採する労働者が不足しているということ。
これはワクチンの普及などにより、少しずつ改善していくのではないでしょうか。
一部地域では害虫被害などで、そもそも木材に出来る木が減っていることもあるようです。
このように世界的な需要の増加による木材不足と、流通の圧迫により輸入経路が減ったことによりウッドショックが起こってしまったと言われています。
木材が輸入できず不足していることはわかりましたが、この問題は家を買う人にどのように影響してくるのでしょうか。
ウッドショックで変わったこと
ズバリ、建物の価格が上がっています。
木材の不足=木材の値上がり、住宅建築に必要な木材の価格に大きく影響します。
柱や梁といった住宅に欠かせない部分が値上がりすることにより、建物の価格自体が高騰し始めているのが現状です。
特にローコストメーカーなどは安価な木材への依存度が高く、ウッドショックの影響が大きいのではないかと言われています。
現に自分が検討していた工務店も、去年までは2600万円程で建てられた建物が、今では3000万円程かかってしまうと仰っていました。
契約時点での見積以上は貰えない、ということで今年建てている家は100万単位で持ち出しが出ているそうです…
これから契約される方には、木材価格の変動に合わせて見積もりから変更がある可能性を説明し、価格の変更をお願いする場合もあるとのこと。
この辺は各社対応が分かれるようですが、木材価格は契約時点の価格とするところが多いように感じます。
規格(企画)住宅も9月頃から各社値上がりが始まっており、注文住宅だけでは無く建売などにも影響が及ぶでしょう。
木材の値上がりは住宅価格のみでは無く、家具などにも影響を及ぼしています。
市内の家具メーカーでも、年明けから椅子やテーブルなど1~2割値上げを予定しているとのこと。
自分はドアや建具などを造作で考えていましたが、こういった細かい部分も少し値上がりしてしまうかもしれませんね。
ウッドショックはいつまで続く
これまで値上がりを続けてきた輸入木材ですが、今年の年末から年明けには値上がりはいったん収まるのでは、と予想されます。
とはいえこれは高止まりする、というだけで従来の価格まで戻るというわけでは無く値上がりが止まるだけ。
世界情勢によっては今後も値上がりしてく可能性があり、木材不足が解消される見通しはまったくありません。
複数の要因がすべて解決するのは難しく、まだまだ時間がかかるでしょう。
家作りは焦らず、冷静に
このように世界的な木材需要の高まりだけでなく、様々な要因が重り第3次ウッドショックと呼ばれる状況になってしまいました。
当然木材の高騰が続けば、住宅価格もそれに合わせて上がり続けてしまうでしょう。
とはいえこれからも値上がりするなら、今買っておこう!と焦って購入し、後で後悔するなんてことも…
これから住宅購入を考えている方は、例えば国産木材を使用するメーカーや、木造以外の住宅を検討するのも良いかもしれません。
また、大手のメーカーでは当分先までの木材を確保している場合もありますので、選択肢はまだまだあると思います。
とはいえ国産木材や大手メーカーは、元々の価格帯も高めです。
自分も含め地元の工務店やローコストメーカーで検討している方にとって、頭の痛い問題が続きそうです。
こういうタイミングですから、少し落ち着いて家作りを考えてみる期間にしてみるのもいいでしょう。
今買わないと値上がりしますよ!という言葉に焦ってはいけません、一度冷静になって考えて下さい。
どんな家が欲しいのか、じっくりと考えられるいい時間になるかもしれませんよ。